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惑星クレタサス・レポート(3)-2

あう。
やっぱり長すぎたので明日にも続きます・・・(><)

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▽大転進(The Great Exodus)

 コンフェデの軍部指導者達は、速やかに単純かつ悪魔のような計画を立案した。衛星や惑星を全て含めた居住可能世界において、コンフェデによる自給自足型の開拓植民地は今や300近く存在しており、その全てが航宙門により容易く到達することができる。コンフェデの人口全体を(少なくとも一時期だけでも)支えることが可能であれば、もし全人口が宇宙に退却した場合、戦いはどうなるだろうか?
 こうしてコンフェデの総地球人口は、数百隻の宇宙船に乗り込んで開拓植民地に移住していった。このうちいくつかは到達した植民地で再補給を行い、もっとさらなる遠くへ旅立っていった。彼らが旅立った後の開拓植民地は、一時的に人口が希薄になったものの、またすぐに地球から十分な数の移民が乗り込んできた。新規発見された植民可能な星系へは、まるでパン屑を落として作ったかのように、銀河開拓の経路が形作られた。
 コンフェデの宇宙開発への投資は確実に回収されることとなった。ユニオンが地球上の都市を灰燼に帰さしめたとき、すでに戦いは宇宙空間へと移る準備が整っていた。2136年のある寒い日、数千隻のコンフェデ宇宙船が一斉に離昇した轟音で地球は震撼した。全てのコンフェデ艦隊が地球から退却したのだ。全ての宇宙船は自動航行ができるようになっており、長期間の継続航宙が可能なように改造されていた。また、想像される限り全ての輸送機器が搭載されていた――これは航宙門で待ち構えている宙賊どもに対し、これらガラクタを乗せた偽装船の艀を切り離し、目くらましとするためだった。
 こうして大転進(The Great Exodus)が始まった。退却するコンフェデの船団は暗がりから出て光を求める羽虫の群れのようであった。北アメリカからの脱出の波は第4次まで行われ、密集する宇宙船で航宙門はごった返した。軍船は砲門をちらつかせつつ、第4次の植民船団が航宙門に入りきるまでその場を守りきった。アトランタを始めとしたコンフェデの地上行政拠点は全て廃棄された。そして地球にいた社会のならず者達もまた、体よくこの宇宙船に便乗して犯罪を帳消しにされたが、彼らは時も置かずにユニオンの封鎖艦隊に対しての絶望的な戦闘へ投入されることとなる。
 大転進の尖兵となったのは、コンフェデ最大の兵力である新主権軍(The Army of the New Dominion)である。“ファースト・スタンド(First Stand)”というニックネームを持つこの部隊は、全ての戦場において第一撃部隊を任じられ、必然的にここでも世界中でユニオン軍に大打撃を与えるべく攻勢を開始した。ユニオン側の戦略重要拠点に向けた同時多発攻勢である。ユニオンにとって、ここ近年の形勢が優位であったにも関わらず、これは完全な奇襲を受けてしまう形となった。戦術は稚拙、武器も兵員も不足、兵站も貧弱レベルであるファースト・スタンド達の最大の武器は、戦意のみであった。
 この攻勢の最大の目的――それは陽動である。ビューチャンプ将軍(General Beauchamp)に率いられたファースト・スタンドは、自滅するかのように接敵し、重大な損害を甘んじて被った。植民船団が逃げ去るまで、この戦いにおいてビューチャンプの兵士達は、ユニオン軍に同等以上の代償を支払わせ続けたのである。
 それでもなお、大転進に参加した船団には大いなる危機が待ち受けていた。ファースト・スタンドが確保した地域よりも遠くにユニオン軍は展開していたし、ユニオンの哨戒艦隊による警戒網も分厚いものだった。数多くのコンフェデ側発射施設は占領封鎖され、第一波の植民船団のうち相当数が打ち上げ途中に撃墜された。
 しかしコンフェデは勇気を振り絞った。数年間の防衛戦の後、彼らはついにイニシアチブを握った。航宙門に集結することができた植民船団は、まるでコンフェデ全階層の縮小国家であった。手入れの行き届いた流麗な宇宙船には学者や地方権力者が乗り込み、錆の浮いたおんぼろ宇宙船には零細農民が数千人単位で放り込まれた。重武装の軍艦には主力軍が搭乗し、小さな砲艦は民兵が操った。そしてそれらの軍艦はぴったり追随する形で、彼ら兵士の家族を乗せた民間宇宙船を護衛していた。老朽化した輸送宇宙船は曳航されて補給装備品の分配基地となった。ノアの箱舟のように、ありとあらゆる種類の動物がこの航海に同行させられた。彼らの生活の全てが、この巨大植民船団の中に集約されたのだ・・・

(明日に続く)
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by mccoy1234 | 2005-08-24 00:00 | TRPG
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