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算法少女

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だいぶ前になっちゃいましたが。
先週末、前橋遠征の際に
湘南新宿ラインの車内で読んだ文庫本です。
ちくま学芸文庫から出てます。










江戸時代の数学、いわゆる「和算」のお話。

主人公は江戸の町娘、千葉あき。情には弱いが、数にはめっちゃ強い。
大坂からやってきた医者の父親(これがまた変わり者なんだ)
から、上方算法を教わっていて、いわゆる英才教育。
ある日、女の子同士遊びに行って、
浅草の観音様に武家が奉納した「算額」に誤りを見つけ、
思わず声を上げてしまった。

「算額」ってのは、数学の図形問題と回答を書いた奉納絵馬みたいなものだ。
「観音様のおかげでこんなに賢くなりましたぁ」と、
自分なりの答えを書いた図形証明問題を境内に見せびらかすんだって。
自慢しいしい、自分の先生と流派を誇示しつつ。すげぇ!!(・A ・)

さて、「なにい、拙者の額に難癖をつけるとは!」とお怒りの奉納したお武家さま、
「だって間違ってます!」とあきちゃん。口頭で矛盾を証明して、彼女の勝ち!
嫌味な武士を見物客の面前でぎゅうとやりこめ、
「ざまあみろい!二本刺しが怖くてめざしが(以下略)」と、
いなせな江戸っ子たちの噂のまとに。
さあ、その出来事を聞き及んだのは算法狂いの殿様、久留米藩主の有馬候。
あきを姫君の算法指南役にしようとするが、ここでまた、
上方算法に対抗心を燃やす関孝和一門の実力者・藤田貞資が、
あきと同じ年頃の、関流を学ぶ娘と競わせることを画策!
はたしてその結末は・・・はらはらどきどき・・・のジュニア小説。

しかしまあ、文化豊かなり江戸時代。
算法の天才少女千葉あきを始めとして、市井に生きるキャラクターたちが
生き生きと江戸時代の充実した風俗を活写していきます。
長屋コミュニティの濃密な人づきあい。そして算法流派同士の権謀術数。
いろんなところがマッコイ新発見で、
退屈な数学の話でも、ページをめくる手が止まらない。

もともと中高生向けの小説だったので、文章もわかりやすく、
挿絵を今風のイラストに変えたら、いやこれ、普通にライトノベルですよ。
イケますよメディアミックス!!
アニメ化どーですかジブリさん、角川ハルキさん(←やんねえだろな)
でも、NHKドラマスペシャルくらいならイケそうな気も・・・(^v^)

この本の初版は岩波ジュニア文庫から1973年。
その後、やっぱり題材が地味スギて、あまり売れなくて絶版状態だったんだけど、
数学関係者たちがねづよーく支援してくれて、やっとこさ21世紀になって、
ちくま文庫から再販される運びになったんだって。

あとがきを読むと、筆者の遠藤寛子さんが、
これまたかわいいおばあちゃん(ほめ言葉)で、
再販をお願いしに出版社に頼み込むところなんかも赤裸々に書いちゃったりしてて
思わず「がんばれー!」( ´∀`)と応援したくなってしまう。

ちくま文庫なのでちょっと値段は高めだけど、
とにかく、読後HAPPYになれる一冊。
たまにはこんなのもいかがですか!

(^v^)ノ
by mccoy1234 | 2007-04-04 23:13 | Reading
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